例えば社内に新しいマシンを導入するのでIPアドレスを新たに割当てたいが、実際にそのIPアドレスが空いているかどうか、他のマシンで使用されていないかを事前に調べたい場合、覚えておくと便利なコマンドがあります。と、言っても頻繁に使う訳でもなく忘れてしまったりするのでこちらに記しておきます。

調べた結果を自分のデスクトップにテキストで保管するようにして行った際のコマンドです。
for /l %i in (1,1,254) do ping -w 1 -n 1 192.168.0.%i && arp -a 192.168.0.%i >> C:\Users\ユーザー名\Desktop\arp.log

コマンドプロンプトで実行後にデスクトップに「arp.log」というテキストができていて、開くと現在の動的なIPアドレスが表示されていました。
又は下記コマンドで、コマンドプロンプトの画面上に結果が表示されます。
findstr 動的 C:\Users\shin\Desktop\arp.log

・ネットワーク上でIPアドレス1から254まで順番にpingを打っていく
for /L %f in (1, 1, 254) do ping -n 1 -w 50 192.168.0.%f
・上記を行い、結果を自分のデスクトップ上にテキストで保存する
for /L %f in (1, 1, 254) do ping -n 1 -w 50 192.168.0.%f >> C:\Users\ユーザー名\Desktop\result.log

 

上記コマンドに関する解説も載せておきます。

現在ネットワークで使用中のIPアドレスを調べるには、「ping」を使えば、全てのIPアドレスが存在するかどうかをチェックできるはずです。つまりLAN上の全IPアドレスに向けてpingを実行し、応答が戻ってきたらそのIPアドレスは使用中ということです。

でもこの「ping」コマンドに対する応答(ICMP echoプロトコル)がファイアウォールやウイルス対策ソフトウェア等によってブロックされていることがあります。
「ping」パケットがブロックされていると、ICMP Echoに対する応答(ICMP Echo Reply)が戻ってこなくなるので、IPアドレスが使用されているかどうかを判断することはできません。

しかしネットワークプロトコルレベルで見ると、ICMP Echoを送受信する前に、必ずARPプロトコルのやりとりが行われているはずです。ARPプロトコルは、TCP/IPによる通信に先立って必ず行われるものであり、ファイアウォールによってブロックされている可能性はほとんどないはずです。ARPがブロックされると、相手のMACアドレスが解決できず通信できないからです。
(MACアドレスレベルでフィルターするようなデバイスやファイアウォールがあると、正しい結果が得られなくなる可能性があります。)
ARPプロトコルは、同一のLANセグメントでないと機能しないので調査対象となるネットワークセグメント上で直接情報を収集しないといけません。
(別のネットワークセグメントの場合はルーターが中継するので、ARPプロトコルでは調査できない為。)

ARPプロトコルだけを単独で送受信することはできないので、手順としては、あるIPアドレスに向けてpingを実行し、その後、すぐにarpコマンドで確認します。
そして「for」コマンドを使って上記を順番に自動的に動かします。

for /l %i in (0,1,255) do ping -w 1 -n 1 192.168.0.%i && arp -a 192.168.0.%i >> arp.log

「for /l in (0,1,255)」は、変数%iの内容を0、1、2、…、254、255と変更しながら、以下のコマンドを実行せよという意味です。この変数と「192.168.0.」という文字列を組み合わせることにより、192.168.0.0、192.168.0.1、…、192.168.0.254、192.168.0.255というIPアドレスを生成しています。ただし先頭の0と最後の255は、通常は除外した方がよいでしょう。(これらはネットワークアドレスとブロードキャストアドレスに使用されるので。)
「ping -w 1 -n 1 192.168.0.%i」は、待ち時間1(=1ms)で、1回だけpingを実行せよ、「arp -a 192.168.0.%i」は、そのIPアドレスに関するARPテーブルのエントリを表示せよ、という意味です。

最終的な結果はarp.logというファイルに書き出しています。この中から、エントリが「dynamic」となっている行だけ抜き出すことができます。
findstr dynamic arp.log

*上記コマンドで分かるのはその時点での状況で、機器が一時的にオフラインになっているとか、電源が入っていない事もありますので、必要に応じて複数回行う等して確認して下さい。